入試および春期講習も終わり,今年も一段落。高校入試から一ヶ月近く経ってしまいましたが,ここらで雑感などを残しておこうかと思います。
全体としては昨年と同じ傾向が続きましたね。どんな傾向かと言うと,「文系科目が難しく,理系科目が易しい」です。と言っても2016,2017年と比べてのことなので,科目別平均点を見ると数学・理科の平均点が特別高いというわけではありません。
ただし,これはあくまでも私個人の感覚です。特に文系科目の難易度は正直よく分かりません。受験生の感想としては,国語が難しかったという話をよく聞きました。
というわけで,客観的なデータを見てみましょう。下の表は大阪府教育センターが発表している「合格者の平均点」です。受験生全体や学校別の平均点などは分かりません。実際は各科目90点満点ですが,100点満点に換算してあります。
2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年new! | |
国語A | 58.6 | 68.9 | 52.3 | 50.4 |
国語B | 63.4 | 66.0 | 57.8 | 55.1 |
国語C | 52.5 | 61.9 | 63.0 | 47.3 |
数学A | 58.4 | 51.9 | 60.7 | 64.2 |
数学B | 46.5 | 32.4 | 54.6 | 54.6 |
数学C | 44.2 | 28.6 | 56.2 | 58.0 |
英語A | 43.6 | 41.6 | 47.2 | 41.2 |
英語B | 50.1 | 48.1 | 51.6 | 46.3 |
英語C | 62.8 | 58.9 | 56.6 | 51.7 |
理科 | 49.0 | 43.7 | 50.9 | 48.6 |
社会 | 49.9 | 58.8 | 58.1 | 50.5 |
※8/22追記・2019年の結果が公開されましたので追加しました
※大阪府教育センターのホームページ
http://wwwc.osaka-c.ed.jp/category/forteacher/investigate/investigate_publication.html より
現行のABC三段階になった2016から昨年までのデータです。今年はまだ発表されていません(8/22に2019年のデータを追記しました)。これを見ると2017の数学・理科がいかに難しかったかが分かりますね。その後,2018年に一気に易化し,今年も昨年と同様の難易度であったと思います。一方,英語はじわじわと難化。国語も今年は難しかったとのこと。どうも平均点を55前後に揃えたいのかもしれませんね。ただ,数学はもともと個人差の大きい教科なので,あまり難易度を下げると満点が続出してしまって最上位の差がつきません。なのでこれ以上易しくすることはできないでしょう。
数学Cを見てみましょう。問題構成は全く例年通り。難易度は昨年とほぼ同じくらいです。
大問1…小問集合。公立らしい確率の問題や恒例の整数問題。関数の求め方を書かせるのも定番ですね。標本調査はあまり出題されませんが,基本的な問題でした。C問題選択校の受験生なら問題ないでしょう。やはり注意すべきは整数問題ですが,今年はこれも易しかったので,大問1は全問正解しておきたいところです。
大問2…平面図形。証明は合同や相似といったガッチガチの典型問題ではありませんでしたが,底角が等しい→二等辺三角形というよくある形。(3)の①が若干難しかったかなとは思いますが,「長さを求めよ」ときて三平方も面積の逆算も使えそうにないとなると,相似に的を絞れたと思います。
大問3…空間図形。もうこれは見飽きたくらいの典型問題ですよね。学校のワークにそのまま載ってても違和感ないくらい。はっきり言ってこの問題は全部解けないといけません。最後の体積は「高さ平均」を知っていれば瞬殺ですよね?
…こうやって改めて考えると,かなり易しいです。満点続出だったかも?まあ,私が理系講師なもんで,どうしても生徒には高めを期待しちゃうんですけど。いままで予想平均点を実際の平均点が上回ったことってありませんから…。いや,それを差し引いても今年は簡単だった!さすがにこれ以上は簡単にはできないでしょう。
いずれにしても,差が出るポイントは,①公立っぽい確率 ②整数問題 ③平面図形(長さ) ④空間図形(体積) でしょう。これらは学校で習うところだけでは心もとないです。塾で技を磨きましょう。